笑うタイミングが他人と違う
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他人の話を聞き逃したり、人と同じタイミングで笑えない、と言うのもボケの症状だ。
1対1で話すときは問題がないが、会議や酒の席などで、大勢の人が話をするときに、誰が何を言ったか覚えていない。
そのため、みんなが笑っても、なんで笑ったのかわからないし、映画や落語などを見てても、笑うタイミングで笑えなかったりする。
ボケにも様々な症状があるのだが、これは「聞き取れない」という症状で、日頃からイヤフォンやヘッドフォンなどを使う人によく見られるボケ症状なんだという。
たとえばパソコンやケータイに集中すると、目の動きが狭い範囲しか動かないので、周囲の変化に気づきにくくなったりする。
正面にしか意識が向かなくて、横や後ろの意識が弱くなるのだ。
それと同様に、イヤフォンやヘッドフォンで周囲の音を遮断して集中していると、雑多な音の中からいろんな人の声を拾うという能力が落ちてしまうらしい。
そのため、目の前にいる人の話は聞こえるが、横にいる人や後ろの人の声が聞き取れない。
目の前にいる人の場合は、話している口元が見えるのでわかるが、声のわずかな違いから誰の声かを判別して、その声を聞き分けると言うことができない。
また誰の声かわかっても何を言っているのか、内容を把握することができない。
というのは声が聞き分けられない上に、重要な言葉を探す能力も落ちているからだ。
カクテルパーティ効果
大勢の人が集まって会話を楽しむカクテルパーティのような場でも、人は知り合いの声を聞き分け、会話をすることができる。
これを特に「カクテルパーティ効果」などと言ったりする。
カクテルパーティ効果は、自分の知ってる声を聞き分けて、その声に集中できるという能力で、母親が自分の子供の泣き声に敏感に反応するというのもこれだろう。
ただし声に敏感になるだけでなく、会話の中の重要なキーワードを拾い、何の話なのか理解する力も必要だ。
重要なキーワードさえ拾えれば、あとは話の流れから推測できるので、同時に複数の人と会話することもできる。
ところが話を推測することができないと、何度も相手に同じ事を聞いたり、みんなで笑う場面で笑えなくなる。
人間が笑うときと言うのは、上方落語の故・桂枝雀師匠によると、「緊張と緩和」のギャップが必要で、緊張していたところで意外な展開になり、そこで力が揺るんで笑いが起こるらしい。
ところが笑い話にしても怪談にしても、緊張する場面がイメージできないといけない。
もうそろそろ何か起こりそうだという予感が、聞く人の緊張感を高めていって、そこで思いがけないことが起こるから、人は笑ったり怖がったりして喜ぶ。
ところが前頭葉が鈍ってしまって、人の話を聞くことができなくなっていると、先のことが想像できなくなってしまう。
もうそろそろ何か起こりそうだという予感すら持てないので、笑えない。
家族が笑っているタイミングで、自分が笑えなくなっていたなら、もうボケ始めているということらしい。