3次元でモノを見る作業は、脳の全体を使う
更新日:
インターネットや携帯電話を使うと、ボケやすくなるという。
ボケやすくなる原因の一つは、長時間、画面を見続けると、目や身体を動かさないため、脳がそれに集中してしまい、それ以外の感覚が鈍るからだ。
人間の目は日常生活で、非常に目まぐるしく動いている。
左を見たり右を見たり、遠くを見たり近くを見たり。
様々な色のモノを見たり、様々な形のモノを見たり。
大きなモノを見たり、小さなモノを見たり。
このとき我々の脳の中では様々な部位が活性化されている。
というのも、見ているモノがどこにあるのかという位置情報や、どういう色をしているのかという色彩情報は別々に認識されるからだ。
さらにどれくらいの大きさなのか、どういう形のモノなのか、も、それぞれ側頭葉の別の部分で認識される。
つまり我々の脳は、三次元にあるモノを、断片的にバラバラに認識した上で、それを再構成して認識しているのだ。
もっと詳しく書くと、目でみたモノはまず、頭の後ろ側にある後頭葉の第一視覚野というところでキャッチされる。
そこから脳の背中側のwhere経路と、脳の腹側を通るwhat経路という二つの経路で分析された上で、脳の前頭葉で統合されたイメージになる。
where経路(背側経路)というのは、目に入った物体が、どこにあって、どちらに動いているかという位置情報を、後頭葉から頭頂葉の神経で分析して、前頭葉の背中側に伝える。
もう一方のwhat経路(腹側経路)は、色や形などの形状を側頭葉で分析し、その情報を前頭葉の内側に送る。
この位置と形という情報が統合されて、初めてモノが見えると言うことになるわけだ。
ボンヤリ見るのと、興味を持ってみるのとでは、違う
モノを見たとき、それがどこにあるのか、どんな形をしているのかは、脳の別の部分で認識される。
空間位置情報は、後頭部から脳のてっぺんを通って認識され、前頭葉の上側に送られる。
形状情報は、後頭部から、脳の側面側を通って認識され、前頭葉の下側に送られる。
そこで初めて位置情報と形状が、前頭葉で統合されて、「あそこに、あんなモノがある」とわかるわけだ。
ただしボンヤリと眺めているだけでは、前頭葉は働かない。
すなわちボケる。
興味や関心を持って見る時のみ、前頭葉が活性化されてボケ防止になる。
頭を使うというのは、何かを新しくやるってことだから、ただボンヤリと眺めていてもだめなわけだ。
知りたいと思ってモノを見たり、見たモノを何かに使おうとしないと、脳は活性化しないし、ボケ予防にならない。
そういう意味では、写生をしたりイラストを描くのは、脳にとって良いって事だな。
また、記憶を呼び起こした上で、様々な操作をしてみるというのも、前頭葉を使う作業で良さそうだ。
たとえば桜の花を思い出してみる。
これは我々日本人にとって馴染みが深いから、すぐに桜の花の形とピンク色が思い浮かぶ。
思い浮かぶ桜のイメージは様々だろうが、パッとすぐに思い浮かぶということは、脳の中に桜の形と色が統合された状態で、しっかり記憶されていると言うことだ。
なので思い出すだけでは前頭葉が使われない。
これでは脳のトレーニングにならないので、桜の形をそのままにして、色だけ変えてみる。
赤い桜、黒い桜、紫色の桜など、いろんな桜をイメージしてみると脳に良いはず。