アディポネクチン 糖尿病と動脈硬化に良い分泌タンパク
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アディポネクチン(Adiponectin)とは、脂肪細胞から分泌される生理活性物質(アディポサイトカイン)の一種で、代謝を調節するタンパク質ホルモンだ。
アディポネクチンは、2型糖尿病や肥満、アテローム性動脈硬化、NAFLD(非アルコール性脂肪肝)、メタボリックシンドロームを抑制する役割を持っている。
アディポネクチンがどう働くかというと、脂肪酸を燃焼させて消費し、インスリン無しで血中のブドウ糖(血糖)を細胞に取り込ませる作用を持っている。
つまり、脂肪をエネルギーに変えた上、血液中のブドウ糖を細胞に取り込んで燃やす。
またインスリン抵抗性(インスリンに対する細胞の抵抗性)を下げて、インスリンが働きやすくするので、血糖値が上がりすぎることを防いで、高血糖症や糖尿病を予防するということだ。
他にもアディポネクチンには、血管にできた傷を修復し、動脈硬化を抑制する作用を持つ。
つまりアディポネクチンは、心臓病にも良い効果を与えるのだ。
血管はタバコや高血圧、高血糖、血中脂質によって、毎日少しずつ傷がついているのだが、アディポネクチンは、それを修復してくれるのだ。
だからアディポネクチン量が多い人は、健康な血管を持ち、長生きができると考えられている。
若い女性と100歳以上の長寿女性それぞれ66人のアディポネクチン量を比べた調査では、長寿女性の平均値は、若い女性の2倍にもなっていたという。
このアディポネクチンは、脂肪細胞から分泌されるのだが、一般のホルモンと比べて、大量に血液中に含まれていて、成人の体脂肪率と逆相関関係になっている。
つまり内臓脂肪が多い人ほどアディポネクチン量は少なく、内臓脂肪が少ない人ほどアディポネクチン量が多いという関係だ。
アディポネクチンを増やす食品 オスモチン
アディポネクチンは、脂肪を燃やし、血管にできた小さなキズを修復し、脂肪燃焼やブドウ糖取り込みを促進し、糖尿病や動脈硬化など、様々な生活習慣病を予防するタンパクだ。
アディポネクチンの分泌量は男性より女性の方が多く、成長ホルモンや性ホルモンとは異なり、年を取っても分泌量は減らない。
しかしアディポネクチンは、内臓脂肪の量によって、分泌量が変わることが分かっていて、太りすぎでも痩せすぎでも量が減ってしまう。
要するに、ちょうど良い量の脂肪を持っている人が、一番健康的で長寿だということになるわけだ。
このアディポネクチンを増やすのに良い食品・成分には、次のような食べ物が挙げられている。
- EPA(サバなどの青魚、マグロ)
- 大豆タンパク
- 酵母(ビール酵母など)
- マグネシウム
- 食物繊維
またアディポネクチンに非常に似た性質を持つオスモチンという成分もある。
これはアディポネクチンに似た構造をしており、肥満者のアディポネクチン不足を補えるのではないかと期待されている成分だ。
オスモチンが多く含まれる食品には、りんご、ぶどう、さくらんぼ、キウイ、じゃがいも、とうもろこし、トマト、ピーマンなどがある。
オスモチンは完熟野菜よりも、熟す前の青い状態の方が多く含まれるので、青いピーマンなどは一番良いかもしれない。
DHEAとかプレグネノロンみたいなのと違って、意外と身近な食品で良いんだね。