血栓で肺が詰まるエコノミー症候群に注意
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血栓症は、我々年寄りにとって、もっとも怖れるべき病気の一つだ。
歳をとるにつれて、我々の血管は硬く脆くなる。
これがいわゆる「動脈硬化」なわけだが、こうなると血栓で血管が詰まりやすくなる。
脳の血管が詰まると脳梗塞、心臓の血管が詰まると心筋梗塞で、どちらも死に至る重篤な病気だ。
しかしそれ以外にも、血栓症が引き起こす危険な症状がある。
肺に血栓が詰まって呼吸困難に陥る、「急性肺血栓塞栓症」(きゅうせいはいけっせんそくせんしょう)、俗に言うエコノミークラス症候群だ。
エコノミークラス症候群では、呼吸が苦しくなり、胸が痛くなり、冷や汗が出て、動悸が起こり、失神したりする。
年寄りが失神して転倒して頭や腰の骨を折れば、半年持たずに死に至りかねないから大変だ。
エコノミークラス症候群とは
エコノミークラス症候群とは、飛行機のエコノミーシートに座っていた乗客が、着陸して飛行機を降りたあと、突然急に呼吸困難を起こしたりショック症状を起こす病気だ。
これは長時間、椅子に座り続けている間に、太ももの深部静脈に血の固まりができることで起こる。
これを「深部静脈血栓」というのだそうだが、エコノミークラスの座席は狭く、身動きが殆ど取れない。
その結果、脚部の血の流れが極端に悪くなって、血栓が出来てしまうらしい。
この静脈血栓という血の固まりは、ずっと脚部に留まらず、飛行機を降りて歩き出すと剥がれ落ちて流れていく。
剥がれ落ちた血栓は、静脈を通って肺に至り、それが肺の血管に詰まってしまう。
その結果、呼吸困難が起こる。
これを「急性肺血栓塞栓症」(きゅうせいはいけっせんそくせんしょう)と呼ぶ。
塞栓症(そくせんしょう)とは、血管に血栓などが詰まって血流を止めてしまう症状のことだ。
肺血栓塞栓症になると、呼吸をしていても肺で血液に酸素が十分に取り込めなくなるので、突発的な呼吸困難が起こってしまう。
そしてその結果、命に関わる重大事に陥るわけだね。
ゲーミングチェアで、エコノミークラス症候群は防げる?
エコノミークラス症候群は、足に出来た血栓が肺の血管に詰まってしまうわけだから、飛行機に乗らなくても似たような姿勢を続けていれば、起こりうる。
すなわち、職場や家で、長時間、パソコンに向かって椅子に座り続けていると、エコノミークラス症候群のように、足の深部静脈に血栓が生まれやすくなりやすいという。
長時間、パソコンにかじりついていた後、呼吸困難や冷や汗、動悸などが起こる。
これは命取りになりかねない。
座りすぎの害を減らすには、30分に1度くらい立ち上がって歩くのが良いとされているが、これが意外に難しい。
というのも集中すればするほど、一時間や二時間はあっと言う間に過ぎるし、根気がある人ほど長時間椅子に座り続けることになるからだ。
そこで提案されているのが「スタンディングデスク」という、立って仕事をするための机だが、これも新たに机を増やすことになるし、一長一短がある。
一番簡単な対策法としては、身体に負担が少ないイスに変えるという対策があって、ゲーミングチェアが良いという。
ゲーミングチェアというのは、パソコンで行うeスポーツのための特別な専用イスのことだ。
ゲーミングチェアは、激しくパソコンを操作しながらも身体の負担が減らせる様々な仕組みを取り入れているため、普通のイスやオフィスチェアと比べても、快適度が格段に良いという。
価格も普通のオフィスチェアとさほど変わらないため、試してみる価値はありそうだ。