オステオポンチン 骨粗しょう症を進めてしまうタンパク質
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オステオポンチン(Osteopontin:OPN)とは、身体のあちこちで炎症を引き起こし、老化を進めると考えられている物質だ。
オステオポンチンは骨基質に存在するタンパク質で、乳汁、胎盤、尿、白血球腎臓などの正常組織、および腫瘍組織に存在する。
OPNは破骨細胞のαvβ3と結合して骨吸収調節を行ってるのではないかと考えられており、骨の研究分野では注目されている。
というのも、米ラトガースト大学(ニュージャージ州)と東京医科歯科大学の野田正樹教授との研究チームのマウスを使った研究で、骨にわずかに含まれているオステオポンチンの働きを抑制すると、骨粗しょう症の発生が抑えられることが分かったからだ。
オステオポンチンを作れないように遺伝子操作したマウスでは、閉経後も骨粗しょう症が起こる割合が大きく減ったという。
人間の骨は、破骨細胞という細胞によって溶かされ、新たにまた骨が作られるのだが、オステオポンチンは破骨細胞の働きを強めてしまうらしい。
これによって女性は閉経後、急激に骨が弱くなってしまうわけだ。
これは、運動不足でも起こり、寝たきりになると「廃用性骨萎縮」という現象が起こる。
廃用性骨萎縮とは、使わない骨が弱る現象で、寝たきりになるとオステオポンチンがドンドン骨を壊して言ってしまうらしい。
オステオポンチンは、血管の炎症にも関係して、老化を進める?
近年では、オステオポンチンが血管内皮細胞へ結合するケースにも関心が持たれ、癌の転移にも関係があるのではないかと考えられている。
つまりオステオポンチンが、血管の老化にも関係があるんじゃないかと、考えられ始めているらしい。
また、オステオポンチンが種々の炎症に関与しているという報告が出ている。
オステオポンチンの血中濃度が高い人は、身体のあちこちで炎症が進み、それで老化が進むのではないかというわけだ。
一番問題なのが、血管の炎症で、コレステロールが溜まったり、血栓ができたりして、様々な病気の原因になりかねない。
つまりオステオポンチンは、動脈硬化とも関係があるらしい。
他にも、変形性関節症の発症や進行に関係していたり、インフルエンザに対する免疫応答に関係があるのではないかとか。
アレルギーにも関係があったり、皮膚の傷が治る際に必要なのではないか、などといった研究も行われているようだ。
オステオポンチンが増える原因としては、ストレスや肥満が考えられているが、今のところ、まだまだよく分からないことが多いようだ。
ただ、廃用性骨萎縮で骨が弱ることは確かなようだから、骨が弱らないように散歩などの運動は欠かせないとね。