皮膚フローラ(皮膚細菌叢)と四つの菌
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肌の健康には、肌に住んでいる細菌の働きが大きく関係している。
肌には数十種類の細菌(常在菌)が住んでおり、それぞれコロニー(集落)を作っている。
これを皮膚フローラ(皮膚細菌叢)と呼ぶ。
フローラというのは「花畑」のことで、花畑のように細菌が住んでいる。
この細菌は、汗や皮脂を食料にしており、汗や皮脂を分解して肌を弱酸性に保ったり、雑菌やウイルスなどの外敵から皮膚を守る手助けをしている。
そのため肌の常在菌が健全だと、肌の免疫力が保たれ、悪玉菌の増殖が抑えられ、痒みなどの不快症状を抑えてくれる。
逆に何らかの原因で常在菌がいなくなったり、バランスが崩れてしまうと、免疫力が落ちて肌が傷んだりする。
肌に住み着いている常在菌のメジャー菌は4つあって、それぞれ次のような働きをしている。
肌に住んでいる常在菌
- ◎表皮ブドウ球菌…(善玉菌)肌の保湿力を高める。黄色ブドウ球菌の増加を防ぐ
- ◎サーモフィルス菌…(善玉菌)乳酸菌の一種で、肌を弱酸性に保つ
- △アクネ菌…(日和見菌)ニキビをつくる菌。汗や皮脂を食料にして、肌を弱酸性に保つ
- ●黄色ブドウ球菌…(悪玉菌)アレルギー物質を作り、痒みの原因となる。
肌というのは、汗と皮脂と免疫グロブリンによって、雑菌やウイルスなどから皮膚を守っている。
それだけではなく、常在菌が汗や皮脂を分解することによって、弱酸性に保たれている。
悪玉菌である黄色ブドウ球菌は、弱酸性では増えないが、弱アルカリ性に傾くと増え始めて、痒み物質を出したりするわけだね。
乳酸菌のいろいろ
人間の免疫力の6割以上は、腸内細菌が担っているという。
肌に関しても、細菌が大きな働きをしているのだが、善玉菌は弱酸性の環境でないと活躍できない。
そのため、いかに肌を弱酸性に保つかが、重要なポイントになる。
そのために重要なのが「汗をかくこと」と、「身体を洗いすぎない」ということだ。
汗がないと常在菌のエサがなくなるし、身体を洗いすぎると皮膚が傷むので悪玉菌が増えやすい。
そしてまた、ヨーグルトやサプリメントなどで「乳酸菌を補給」することも必要だ。
ヨーグルトは、肌の常在菌であるサーモフィルス菌を種菌として使っていることが多いので、非常に肌に良い。
ただ、乳酸菌にも色々あって、何が何だかよく分からないので、少しまとめておく。
乳酸菌の色々
- ビフィズス菌…動物の腸内に存在する乳酸菌。ヒトの糞便に含まれる乳酸菌のウチ99.99%がビフィズス菌で、他の乳酸菌の1万倍も存在する。ただし酸素を嫌うため、肌にはいない。
- サーモフィルス菌…ヨーグルトの種菌として使われる乳酸菌。肌の常在菌でもある。
- ブルガリア菌…ブルガリアヨーグルトに使われる乳酸菌。サーモフィルス菌と共に使われる。
- ラブレ菌…植物由来の乳酸菌。「すぐき漬け」から発見された。生きたまま腸まで届き、腸内でも増殖する強い乳酸菌。
- ガゼリ菌…人の腸から分離された乳酸菌。多くの乳酸菌が大腸に住んでいるのに対し、小腸を住みかとしている乳酸菌。内臓脂肪低減効果が報告されている
ビフィズス菌は、人の腸内に最も多く住んでいる常在菌だが、乳糖(ラクトース)やオリゴ糖を主なエサとしている。
そのため、ビフィズス菌を増やすには、乳糖やオリゴ糖を積極的に摂る必要がある。
乳糖は牛乳などの乳製品に含まれる二糖類(ガラクトース+ブドウ糖)、オリゴ糖は単糖類が3つ以上連なった形の多糖類だ。
オリゴ糖は、ビート(甜菜)やタマネギ、大豆などに含まれる短い炭水化物の総称で、様々な種類がある。