手術が必要な下肢静脈瘤とは?
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下肢静脈瘤(かし・じょうみゃくりゅう)とは、脚の静脈血管にできる瘤(こぶ)だ。
太ももの内側や膝の裏側、ふくらはぎなどに、ボコボコした瘤ができたり、青紫色の血管が浮き出てハッキリ見えたりする。
静脈瘤ができる直接の原因は、静脈血管にある逆流防止弁が弱ったり壊れることだ。
人間の血管には、動脈と静脈という2種類の血管がある。
動脈は心臓から身体の末端に向かって流れる血管で、分厚く丈夫にできている。
これは動脈には強い圧力がかかるからで、だから動脈は膨らみにくい。
一方、身体の末端から心臓に戻る血管が静脈で、血管壁が薄くできている。
静脈は圧力が弱いので、血管壁は分厚くなくても良いのだ。
ところがその結果、ちょっと血流が滞って圧力がかかると、血管が膨らんでコブになる。
血流が滞る原因が、静脈に付いている逆流防止弁の故障だ。
静脈血管には、血液が逆流しないように逆流防止弁があるのだが、これが弱ったり壊れたりすることで、血液がうまく流れず血管に溜まりやすくなってしまう。
そのため、下半身の太ももや膝ウラ、ふくらはぎに血液が溜まり、ちっちゃな風船のように膨らんでしまうわけだ。
下肢静脈瘤が、女性に多く、立ち仕事をしている人に多いのは、物理的に血液が下半身に溜まりやすいというのが理由だ。
下肢静脈瘤は、大きく分けて次の4つのタイプに別れる。
- 伏在型(ふくざいがた)
- 側枝型(そくしがた)
- 網目状
- くもの巣状
この中で手術が必要なのが「大伏在静脈瘤」で、太ももの付け根の静脈弁が弱って、膝の内側にボコボコした静脈瘤ができる。
下肢静脈瘤の特集動画
下肢静脈瘤の治療法とは
下肢静脈瘤の治療法には、様々なモノがある。
圧迫療法
下肢静脈瘤の予防や防止のうちで、一番簡単なのが、弾性ストッキングによって、血管が膨らまないようにする「圧迫療法」だ。
むくみを取る目的の弾性ストッキングは市販されているが、医療用の弾性ストッキングは、市販のモノよりも強力に締め上げて静脈瘤を防ぐ。
ただし圧迫療法は予防や手術後のケアのためのモノであり、根本的な治療にはならない。
硬化療法
下肢静脈瘤の硬化療法とは、弱った静脈血管を薬によって固めてしまって、血管そのものを潰してしまう療法だ。
血管は、血液が流れなくなれば退化して繊維化するので、静脈瘤も消えるのだという。
高位結紮(けっさつ)術
脚の付け根(そけい部)の静脈の問題部分を、逆流しないように結んでしまう手術。
数センチほどメスで切開して、静脈瘤ができた上の静脈を止めてしまうという。
日帰り手術が可能。
静脈抜去術(ストリッピング手術)
静脈瘤ができた血管にワイヤーを通し、弁が壊れた静脈を引き抜いてしまう手術。
4~5日の入院が必要。
ラジオ波(高周波RF)治療
血管内にカテーテルを入れて、高熱で血管を焼いて閉塞させ、血流の逆流を防ぐという手術。
血管内レーザー焼灼術
血管内レーザー焼灼術とは、血管に極細のレーザーファイバーを挿入し、血管の内側から静脈瘤を焼いて閉塞させるという手術。
様々な技術の発展により、非常に安全性の高い治療方法で、伏在型静脈瘤の治療に使われる。