コレステロールは少なくても死亡率が上がる
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コレステロールの摂取量と、心臓病の発生率には相関関係がある。
なので、コレステロールを含む肉や卵、バターなどをあまり食べず、逆にコレステロールを含まない豆類やナッツ、オリーブオイルで脂肪を摂る地中海食では、心臓病のリスクが低く抑えられていたわけだ。
これを受けて、一時期は、動物性脂肪を減らして、植物性脂肪に切り替えれば、健康になれるかのような話が多かった。
ところがコレステロールは、生体維持に必要な成分であるので、低コレステロールでも死亡率が上がることが分かった。
たとえばアメリカで行われた大規模な疫学調査 MRFIT (multi risk factor intervention) では、血中総コレステロールが 200mg/dL 以上では冠動脈疾患による死亡率が急に上がることが分かった。
180mg/dL 以下では冠動脈疾患による死亡率は一定になり、180mg/dL以下では冠動脈疾患以外による死亡率が増えた。
つまり死亡率に関しては 180~200mg/dL が最も低下することが判明した。
また、日本でも福井県でコレステロールに関する調査が行われ、コレステロール値が低い人は、感染症、がん、肝疾患、気管支炎、胃潰瘍及び貧血などによる死亡率が高くなったという。
(→ウィキペディア「コレステロール」)人間は肝臓や皮膚でもコレステロールを毎日合成しているのだが、コレステロール合成には、たくさんの材料とエネルギーが必要で、十分な休養と十分な栄養がないと、低コレステロール状態になって弱ってしまうらしい。
コレステロール値をコントロールしているのは、油の種類
コレステロールが多い食事を取る地域では、心臓病にかかる割合が多く、地中海食を食べている地域では、心臓病になる人の割合が少ない。
じゃあ、コレステロールの少ない食事が健康に良いかというと、そういう話でもないらしい。
というのもコレステロールは、どうしても身体に必要な成分なので、毎日1,000~1,500mg程度が肝臓や皮膚で合成されているからだ。
一方、食事から吸収されるコレステロールはその3分の1程度の300~500mg程度であり、また高コレステロール食を食べると、体内合成量が減ると言うことも分かった。
つまり血中のコレステロール濃度は、肝臓で一定の範囲にコントロールされているから、何から脂肪を摂ろうが関係ないはずだってことだ。
では、コレステロール値を上げている原因は、一体何なのか。
そこで再び地中海食を再検討してみると、そこにコレステロール値を下げる成分が、いろいろあることが分かってきた。
たとえばオリーブオイルに多く含まれるオレイン酸は、LDLコレステロール値を下げることが分かった。
地中海沿岸でたくさん食べられている魚に含まれる、EPA(エイコサ・ペンタ・エン酸)という油も、コレステロール値を下げるということが分かった。
宵待草油やひまわり油、ごま油にも、コレステロール値を下げる働きがあることが分かった。
さらにω-3系統の脂肪酸とω-6系統の脂肪酸では、逆の働きをする場合があることも分かってきた。
つまり同じ植物由来の油であっても、種類によって逆の異なる作用が起こり、脂肪酸の摂取バランスこそが、健康に栄養するのだ…と言うことが分かってきたわけだ。