問題なのは脂肪の量ではなく、脂肪の質。
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地中海食とは、地中海沿岸地域の食事法だ。
地中海沿岸地域の食事は、高脂肪食かつ高塩分でありながら、狭心症や心筋梗塞の発症率が低い。
それは一体なぜなのか、注目されていた。
「地中海食」には、イタリア料理やスペイン料理、ギリシア料理など、様々な料理があり、その土地土地で色んな食材を使うのだが、オリーブオイルを多用するのが特徴だ。
たとえばイタリアの北部では、パンにバターを塗って食べるのが普通だが、南イタリアでは、バターの代わりにオリーブオイルを塗って食べる。
またパスタやサラダにも、魚介類の料理にもオリーブオイル(と塩)を使う。
そこで地中海食の謎を解くため、1960年代から、日本、アメリカ、フィンランド、オランダ、イタリア、ユーゴスラビア、ギリシャの7カ国で、食事の内容と心疾患の発生率について、15年にも及ぶ7カ国共同の疫学調査が行われた。
そして地中海食を食べている地域ではなんと、より低脂肪な食事をしている地域より、心筋梗塞や冠動脈疾患の発生率が低いという驚きの調査結果が出た。
つまり心臓病リスクを左右するのは脂肪の量ではなく、脂肪の質であることが分かったわけだ。
そして血清コレステロール値と心筋梗塞や冠動脈疾患に相関関係があることが指摘された。
コレステロールは動物性の食品にしか含まれないため、動物性の食品の摂取量が少ない地中海沿岸で、心臓病の発生率が低かったわけだ。
コレステロールと心臓病の関係とは?
コレステロールとは、やや黄みがかった結晶体で、動物細胞の細胞膜の重要なパーツである。
コレステロールは生命維持に必要な物質で、我々が生きていくのに欠かせない成分である。
このコレステロールの取り過ぎが、心臓病の発生リスクを高めているらしい。
というのもコレステロールは肉や卵やバターなど、動物性の食品にしか含まれないので、これらの食品をあまり食べない地中海沿岸で、心臓病が少ないのだと考えられた。
地中海沿岸地域では、赤身の肉は月に数回しか食べず、卵だって週に4個程度しか食べない。
またバターの代わりにもオリーブオイルを使うので、確かにコレステロール摂取量は、かなり少ないね。
つまり同じようにたくさん脂肪を食べていても、動物性脂肪より、植物性脂肪の方が、心臓には良いってことだね。
ということで、動物性脂肪の摂取量を減らし、植物性の油に替えれば心臓病リスクは下げられると考えられた。
植物性の油だったらコレステロールはないし、コレステロールを摂らなければ、健康になれるはず。
ところが脂肪と健康の関係は、そんな単純なモノではなく、植物性の油に替えれば良いってモノではなかった。
脂肪には、飽和脂肪酸、単飽和脂肪酸、ω(オメガ)-3脂肪酸、ω-6脂肪酸、ω-9脂肪酸など、様々な種類があって、それぞれに役割があったからだ。