チラミンは、偏頭痛の原因になり、ノルアドレナリン不足も起こす
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チラミン(Tyramine)は、生体アミン(モノアミン類)の一つだ。
ヒスタミンと同じく、痒みを起こす誘因として注意が必要だ。
この生体アミンというのは、神経伝達物質で、脳や神経で様々な働きをしている。
ドーパミンだとかアドレナリン、セロトニンなども生体アミンの一種で、次のようなモノがある。
生体アミン(モノアミン類)の神経伝達物質の例
【カテコールアミン】 ドーパミン、アドレナリン、ノルアドレナリン
【他】 セロトニン、チラミン、ヒスタミン、オクトパミン
チラミンは、痒みを引き起こす物質としてではなく、偏頭痛を引き起こす物質としてよく知られている。
チーズや赤ワイン、チョコレートなどに多く含まれていて、食べ過ぎると偏頭痛を起こす。
チラミンは、間接的アドレナリン作動作用といって、神経の末端でノルアドレナリンを遊離させ、アドレナリンを増やす。
これによって、やる気が出たり元気が出たりするわけだが、同時に身体を緊張させ、偏頭痛を引き起こしたりする。
さらにチラミンを含んだ食品をたくさん食べると、一時は元気になるが、そのあとにノルアドレナリン欠乏が起こって、やる気や元気が逆になくなってしまう。
ノルアドレナリン欠乏状態では、ちょっとしたことが気になって、イライラが多くなる。
ノルアドレナリンは「怒りのホルモン」で、覚醒を受け持つので、ノルアドレナリン不足になると、無気力・無関心になって、ボンヤリした状態になってしまう。
チラミン中毒とは
チラミン中毒とは、チラミンを多く含む食品を食べることによって起こる様々な症状だ。
発汗、動悸、上腹部痛、頭痛、血圧上昇、及び悪心・嘔吐などを引き起こす。
チラミンは生体アミンの一つで、ノルアドレナリンの分泌を促進させる。
ノルアドレナリンは、やる気や元気の神経物質で、戦いや逃走のために血圧を上げたりして身体をたたき起こす(覚醒)。
つまりチラミンを過剰に食べると、不必要にノルアドレナリンが働き、様々な症状が出るってことらしい。
ただ通常は、中毒と言うほどヒドい状態にはならない。
というのも、我々の身体には「MAO(モノアミンオキシダーゼ)」という酵素があって、これがチラミンを適度に分解してくれるからだ。
チラミンが多い食品を多少多く摂っても、モノアミンオキシダーゼが分解してくれるので、多少元気になるだけで、中毒症状は出ない。
しかしチラミンを含む食品を大量に食べると、モノアミンオキシダーゼが足りなくなり、中毒症状になる。
またMAO阻害剤というタイプの薬を飲んでいると、チラミンの分解が止まってしまうため、チラミン中毒が起こってしまう。
MAO阻害剤を処方された場合、「チーズ、赤ワイン、ビールなどは控えてください」という但し書きがつくが、これはチラミン中毒を予防するためだ。
このチラミンを含む食品には色んなモノがあるが、発酵食品や熟成させているモノは、含有量が多くなっていて、注意が必要だ。
チラミンを多く含む食品
チーズ(特に熟成されているモノ)、赤ワイン、ビール、チョコレート、ピーナッツバター、コーヒー、そら豆、鶏肝、イチジク、ニシン、サラミ、ソーセージ、アボカド、バナナ、他