糖質依存症と人工甘味料
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1970年代に、ブドウ糖果糖液糖という、安価で便利な甘味料が日本で開発され、それがアメリカで瞬く間に広まった。
ブドウ糖果糖液糖は、ジャガイモやサツマイモ、トウモロコシなどのデンプンを酵素で分解し、その半分を果糖に異性化した甘味料で、亜熱帯でしか栽培できないサトウキビと異なり、デンプンなら何でも原料にできるため、非常に便利な甘味料だったのだ。
ブドウ糖果糖液糖は熱に弱いという欠点はあるモノの、コーラや甘いソフトドリンクにはピッタリの甘味料で、現在アメリカで生産される糖類のおよそ半分が、このブドウ糖果糖液糖だそうだ。
しかし糖質(炭水化物)にはタバコや飲酒並みの中毒性があるので、甘いソフトドリンクやピザなどのファストフードをバクバク飲み食いしてビックリするくらい太るアメリカ人が増えた。
肥満は糖尿病や心臓病などのリスクを高めるため、様々な団体が甘いソフトドリンク摂取に注意を促し始めたのだが、そこで登場したのがカロリーが殆どないノンカロリー・ドリンクだ。
これらのノンカロリー飲料に使われ始めたのが、アステルパームやスクラロース、アセスルファムカリウムといった人工甘味料である。
これらの人工甘味料は、ショ糖(砂糖の主成分)の100倍以上の甘みを持ち、微量で砂糖の代わりになるため、ダイエットドリンクに利用されたわけだ。
ただしこれらの物質は天然に存在しない物質であったため、安全性についてずっと疑念が持たれていて、数え切れないほどの動物実験が行われた。
アステルパームの危険性はどのくらい?
ダイエット飲料の甘味料として使われるアステルパームやスクラロースなどの人工甘味料は、天然に存在しない物質であったため、安全性について様々な疑念が持たれた。
たとえばアステルパームは、1965年にアメリカで開発された人工甘味料で、既にもう50年近く歴史があるわけだが、21世紀に入ってもまだ危険性を唱える人もいる。
アステルパームは、フェニルアラニンとアルギン酸という2つのアミノ酸を、メチルアルコールのエステルでつないだジ・ペプチド(タンパク質)と呼ばれるモノなのだが、小腸で分解されると、必須アミノ酸のフェニルアラニンとアミノ酸のアルギン酸とメチルアルコールができる。
フェニルアラニンは脳関門を通過できるアミノ酸で、アルギン酸も脳内物質であるため、脳腫瘍との関連性が疑われたり、またメチルアルコールによる失明を危惧する人もいた。
ただし甘味料として使われるアステルパームは非常に微量なので問題が起こるほどの毒性があるかというとかなり怪しい。
実際、アステルパームが脳腫瘍を引き起こすとか、発がん性があることを証明するために行われた動物実験は、とんでもなく大量のアステルパームを投与して実験していて、そんなに大量に食べないと問題が起こらない物質であることを逆に証明する結果に終わっているようだ。
問題となるのはフェニルアラニンで、これは8万人に1人の割合で現れるフェニルケトン尿症患者には禁忌なので、避けた方が良いとされている程度である。
因みにアステルパームのADI値(一日許容摂取量)は、体重1kgあたり40mgとなっている。
※ADI値とは、毎日食べ続けても問題にならないとされる量のこと