地中海食が心臓に良いって本当か?
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アメリカでの死因の1位は、心臓病(心疾患・心筋梗塞)だ。
そこで戦後しばらくしてから、心臓病対策のための食事法が模索された。
その結果、日本や地中海沿岸国の食生活が健康食であるとクローズアップされて、様々な研究成果が上がってきた。
まず80年代は動物性食品に含まれるコレステロールの多さが問題だとされ、動物性の脂より植物性の油が良いとされた。
90年代になると、コレステロールを減らして植物性の油に替えても、成分によっては健康に問題があると言うことが分かり、オリーブオイルや亜麻仁油、魚油に含まれるEPAやDHAが、様々な健康効果を持っていることが分かった。
一方、シーズニングやマーガリンに含まれる、トランス脂肪酸についても様々な報告と議論があり、身体に悪い→いや、吸収されない→やっぱり身体に悪い、…という変遷を経て、アメリカのFDA(食品医薬管理局)から、トランス脂肪酸の禁止・制限が勧告されそうな気配だ。
これらの研究成果によって、心臓病は減りつつあるのか?ということで、OECD統計のデータから、心疾患(心筋梗塞などの心臓病)死亡者数の推移と国際比較のグラフを作ってみた。
心筋梗塞 死亡者数の推移と国際比較(男性)
心筋梗塞 死亡者数の推移と国際比較(女性)
これを見ると、確かにアメリカの心臓病死数は、ダントツに多いが、70年代から減少傾向になっていることが分かる。
一方、健康食を食べているとされるイタリアや日本も死亡者数が多いね。
果たしてこれはどういうことなのか?地中海食が心臓病に良いって話はウソだったのか?
地中海沿岸は、確かに心臓病が少ない
心臓病による死亡者数では、地中海食のイタリアが上位に来ているが、これは一体なぜなんだろう?地中海食は心臓病や脳卒中に良いとされてはずなんだが。
これはおそらく、高齢化で、年齢別の人口構成が大きく異なるからだろう。
ということで、年齢別人口を調整して比較した、標準化死亡率の推移グラフを作って見てみた。
心筋梗塞 標準化死亡率の推移と国際比較(男性)
心筋梗塞 標準化死亡率の推移と国際比較(女性)
こちらのグラフを見ると、地中海沿岸のイタリアやスペイン、ギリシャ、フランスなどの国が、下位に並んでいて、心臓病が少ないことが分かる。
高齢化によって、心臓病で死ぬ人が増えているが、年齢や人口を調整して比べた場合、やはりアメリカなどとはかなり違うと言うことらしい。
ただし、地中海沿岸の国って、代わりにガンが多いんだよね。
このあたりは、日本と同様と言うことらしい。