地中海食の国 イタリアの死因
更新日:
OECD諸国と日本との死因の比較。
まず最初は、イタリアの死因の構成だ。
地中海沿岸諸国では、心臓病リスクが低く、その原因は地中海独特の食生活つまり「地中海食」にあると考えられている。
そして地中海食の研究が進み、オリーブオイルに含まれる油の成分や、魚介類に多いω-3系脂肪酸(EPA,DHA)や、赤ワインに含まれるポリフェノールなどに、様々な健康効果があることが分かってきた。
地中海食の特長として挙げられているのは、
- バターの代わりにオリーブオイルをたくさん使う
- 魚介類をたくさん食べる
- 赤ワインを適量飲む
- 全粒粉のシリアル(穀物)や果物、野菜や豆やナッツをたくさん食べる。
- 肉や乳製品、甘いものはあまり食べない
ということで、死因の構成比の推移を見てみよう。
死因の構成比の推移(イタリア男性)
まず、イタリアの男性の死因の構成は、日本と同じくガンが一位になっている。
そのあとに心筋梗塞と脳卒中、肺炎などが続いている。
死因の4位までは似たようなモノだけれど、50年前からの推移は、日本とかなり感じが違ってるね。
というのもイタリアの場合「ガンだけがシェアを大きく増やして、他がその分、少なくなっているだけ」、といった感じに見える。
つまり「ガンだけが増えている」ってことだね。
死因の構成比の推移(イタリア女性)
一方、イタリア女性の死因の構成比は、男性と同様、ガンがシェアを伸ばしているが、男性ほどの劇的な変化はない。
ガン死の内訳と推移(イタリア)
イタリアの死因の構成比の推移を見ると、日本のように劇的に脳卒中が減ったりせず、ジワジワとガンがシェアを広げている感じだ。
これはイタリアの食生活が、ここ50年間で、根本的な変化がなかったと言うことだろう。
日本のように、昭和35年以降に、とんかつや天ぷらなどの揚げ物が家庭で食べられるようになった、…というような大変化はないようだ。
ただし、ハンバーガーやドーナツなどのファストフードや、糖分がたっぷりのお菓子なども普及したため、少しずつ少しずつ変化が起こっているようだ。
一方、ガン死の内訳は結構変わっている。
ガン死の内訳の推移(イタリア男性)
50年前のイタリアでは、日本同様、胃ガンによる死がトップだが、胃ガン死は少しずつ減って、肺ガンが急に増えている。
ガン死の内訳の推移(イタリア女性)
イタリア女性のガン死の内訳を見ると、男性同様、胃ガンによる死亡数は減っているモノの、他のガンによる死亡数が増えている。
イタリア男性は肺ガン死が急激に増えていたが、女性はなぜか肺ガンよりも乳がんの増え方が急上昇だ。
このあたりの変化をどう捉えて良いのかよく分からないが、イタリアは南北で食生活が大きく違っているようなので、経済が発展するにつれて肉食などが増えているのかもしれない。
標準化死亡率の推移(ガン イタリア)
標準化死亡率を見ると、肺ガン以外は落ち着いた推移なので、イタリアのガン死増加も、高齢化の影響が強いってことかな。