暑さ寒さも、風や砂埃も、恋愛もストレス
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ストレス反応とは、外からの刺激に対する、共通した反応のことである。
ストレスを引き起こす原因には、物理的な原因・化学的な原因・生理的な原因・心理的な原因など非常に様々な原因がある。
ところがこれらに対する反応はどれも同じで、それをカナダの心理学者ハンス・セリエは、3段階のレベルに分けて説明した。
それが
- 「警告反応期(ショック相・抗ショック相)」
- 「抵抗期」
- 「疲労困憊期(ひはい期)」
これらは全身に現れる一般的な反応という意味で「汎適応症候群」と呼ばれる。
この反応は、後に行くほど心身のダメージが大きく、第3段階では致命的になる。
なのでいかに早い段階で、ストレスを克服したりストレスを発散するかが重要にだろう。
というのもストレスを甘く見て油断しているうちに、あっと言う間に疲労困憊期に入って、自殺や過労死などにもつながってしまうからだ。
前にも書いたが、ストレスを受けたときに分泌されるコルチゾールは、脳の「海馬」という器官の神経細胞を破壊してしまう。
強いストレスを受け続けて発症するPTSDや、重度のうつ病患者の海馬は萎縮しているそうだが、これはコルチゾールによって脳が壊されていたのだった。
ただし、ストレス自体が悪いとは限らない。
というのもストレス反応とは、外界の変化に適応するための反応であって、我々の身体に絶対に必要な仕組みでもあるからだ。
気温の変化もストレスだし、風や砂埃もストレスだし、実は恋愛だってストレスで、問題なのは、ストレスにうまく適応できないと言うことなのだ。
良いストレスと悪いストレス
ストレス反応とは、外界の変化に適応する反応で、生物が生きていくのに必要な反応だ。
たとえば暑さ寒さもストレスだし、風や砂埃もストレッサー(ストレスの原因)になる。
学校や会社でのプレゼン発表や、スポーツや競技の試合もストレッサーであり、なんと恋愛ですらもストレッサーなのだ。
恋心を抱いた相手を見るとドキドキしたり、失恋して身体に力が入らなくなったりするのも、通常のストレス反応なのである。
なのでストレッサー自体に善し悪しはない。
ただストレスを心地よい緊張感や、「自分に与えられた試練」と捉えるか、それとも不安心理や頭痛を引き起こす「自分をいじめる相手」と捉えるかという違いだけだという。
もちろん命に関わるような強烈なストレスや、負のストレスが長期間にわたって続くことは大問題だ。
しかし長期間続くストレスは心理的な要因が大きく、物事のとらえ方が問題なのだという。
ストレスが苦痛になってしまう原因は、ストレスに前向きに対処できないことであって、戦うことも逃げることもできない「ジレンマ(板挟み」)が続くからである。
このような「ジレンマ」という状態が続くと、頭痛や胃痛、精神的な欲求不満や不安、抑うつ症状やアレルギーなどがでて、潰瘍ができたり心臓病のリスクも高まる。
ストレスが続くと免疫力が低下し、ガンや老化も進むことが分かっている。
年を取ると性ホルモンの分泌量が減り、ただでさえ免疫力が落ち、自分自身を守るホルモンも減ってしまうので、年寄りにとってストレスは大敵である。
そのため、ストレスが続く状況から、一日でも早く脱出しなければいけない。
年寄りこそストレスで心身が壊されないように、ストレス解消スキルを身につけねばならないわけだ。