油の種類によって、身体の反応が変わる?
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グリーンランドに住むエスキモーは、魚や海の獣を生で食べ、穀物は一切食べない生活を送っていた。
これはかなりの高脂肪食であるが、なぜか心臓病の患者が少なく、彼らの健康の秘訣は何か、その原因を突き止めるために様々な調査が行われた。
そこで注目されたのが、魚の油に多く含まれるEPA(エイコサ・ペンタ・エン酸)という脂肪酸(油)だった。
EPAは、魚類以外にはあまり含まれていない脂肪酸(油)で、陸上動物や植物の油とはまた違った性質を持つ油だった。
というのもEPAは血液中の血小板の凝集作用を抑制し、血液をさらさらにして流れやすくする成分だったのだ。
EPAは動脈硬化や脳卒中、心臓発作を減らし、血中コレステロール値や中性脂肪の抑制にも働き、これがグリーンランドに住むエスキモーの心臓を守っているのだと考えられた。
さらに食べた油が異なると、体内で作られる生理活性物質も異なることが発見された。
生理活性物質とは、簡単に言うと「身体の様々な働きを調整する物質」のことだが、ω-3系統の油とω-6系統の油から作られた物質は、性質が異なると言うことが分かったのだ。
熱や腫れを引き起こすプロスタグランジン、血液を凝集させるトロンボキサン、気管支ぜんそくやアレルギー反応・炎症を起こすロイコトリエン。
これらの生理活性物質の「効き目」が、材料になる油の種類によって変わることが分かったのだ。
週に2回は魚を食べるべし
日々食べている油の種類によって、熱や腫れ、炎症などの程度が変わる。
何かにつけて発作を起こしたり、炎症を起こしたりする過剰反応は、食事で摂る油のせいかもしれない。
熱や腫れを引き起こすプロスタグランジン、血液を凝集させるトロンボキサン、気管支ぜんそくやアレルギー反応・炎症を起こすロイコトリエン。
これらの生理活性物質の原料となっているのが、植物性の油に含まれるリノール酸やアルファ・リノレン酸、そして魚の脂であるEPAなのだが、原材料によってこれらの効き目が変わってくるからだ。
リノール酸などのω-6系統の油をたくさん摂ると、生理活性物質の効き目が強くなり、アルファ・リノレン酸やEPAなどのω-3系統の油をたくさん摂ると、生理活性物質の効き目が穏やかになる。
一般に安く出回っている食用油・サラダ油など、比較的酸化しにくいω-6系統の成分が多い油であり、酸化しやすいω-3系統の成分は殆ど入っていない。
このようなω-6系統の油に偏った油をとり続けていると、炎症や発作がきつくなり、血栓もできやすくなる。
なので、動物性の油を植物性の油に替えても、あまり健康に良くなかったわけだ。
ω-3系統の油は、酸化しやすいので、なかなか毎日食べるのは難しいが、魚を食べることで充分補えるという。
革命アンチエイジングという本には、「月に鮭を4切れ以上食べると、心停止リスクが50%下がる」なんてことも書いてあるが、地中海食では週に2回は魚を食べるべしとなっているので、確実に実践したいところだな。