集中することは、脳にとって良い事ではない
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目と身体を動かさない生活は、脳の前頭葉を使わず、ボケやすい。
なのでテレビやパソコンのモニターを、毎日ずっと見続けている人は、そのうちボケが始まるかもしれない。
なぜそのようなことになるかというと、前頭葉というのは受け付ける情報を調整する機能があるかららしい。
たとえば何かに集中しているときは、他の雑音は全く耳に入らないどころか、腹も減らないし、痛みも感じない。
しかし逆に集中しない状態では、腹は減るし身体はかゆいし、隣の家のちょっとした音すら気になる。
これは前頭葉の中枢細胞から、五官の情報を送ってくる細胞に対して、送る情報の量を指定できるかららしい。
たとえばモノを見るのに集中したいときは、視覚を司る神経細胞に対して中枢細胞は「情報を詳しく送れ」と指令する。
その一方で、聴覚細胞や触覚細胞に対しては、「情報を送ってこないでくれ」と指令するのだ。
これをトップダウン信号と呼ぶようだが、前頭葉の中枢神経はこれによって、感覚神経の感度を制御することができる。
だから集中して本やマンガを読んでいる時は、よほど大きな音でもしないと耳に入らない。
空腹も痛みも感じずに、暗くなっても、ひたすら本やマンガを読み続けたりする。
そしてふと気がつくと、側に誰かが立っていたり、いつの間にかすっかり時間がたっていて、「え?何?」という事になるわけだ。
集中すると言うことはつまり、その他の情報を遮断すると言うことで、テレビを見続けたり、ゲームをやり続けたり、パソコンのモニターに張り付いていると、それ以外の感覚は遮断されてしまい、偏った脳の使い方が定着してしまう。
これ、ボケの一つの原因になるわけだ。
一つのことに集中するのは不自然
前頭葉の中枢神経細胞には、脳の殆どの神経から情報が届く。
前頭葉は、物事を判断する部分で、判断するために必要な情報は、全部集められるようになっている。
ただし情報にも重要な情報と、さほど重要でない情報があるので、予め選別しておく必要がある。
なので前頭葉の中枢神経は、信号を送ってくる細胞に対して、情報の優先順位を決めて、それを伝えると言うことをやる。
たとえば、モノをしっかり見たいときは、視覚情報を送ってくる細胞に対して「詳しい情報を送ってくれ」と指令する。
一方、聴覚や触覚担当の細胞に対しては、「しばらく情報を送らないでくれ」などと、情報を遮断するような指令を出す。
こういう指令を「トップダウン信号」と呼ぶが、前頭葉はそうやって、目的に合わせて受け取る信号を調整しているわけだ。
ところがこのトップダウン信号によって、人間の脳の働きは偏ってしまう。
テレビを見るならテレビを見る脳に、ゲームをやるならゲームをやる脳に。
パソコンモニターをにらんで作業するなら、それに集中できるような脳に変わる。
その結果、使わない能力が衰える。
具体的には対人会話能力が衰えたり、社交性がなくなってしまったりモノを考えたり決断するのが苦手になる。
本来、何か一つのことに集中することは、動物にとってかなり不自然なことで、やむにやまれないときしか集中しない。
というのも動物というのは、常に自分に危険が迫っていないか、周囲にセンサーを張り巡らして生きている。
動物にとって最優先なのは、子孫を残すことと生き延びることだから、それ以外のことに集中して、命を危険にさらすなんてあり得ないのだ。
なので集中していたとしても数分で、我々のように何時間もテレビを見続けたり、パソコンの画面をにらむようなことはない。
そういう不自然なことを続けていたら、頭が正常に働かなくなるのも道理だろう。
集中する時間が長ければ長いほど、脳がボケる確率が高くなるってことは、覚えておくべきだ。