身体が異常に痒くなる「掻痒症」とは
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歳をとると、身体が痒くなりやすくなる。
特に何も異常が無いのに、なぜか体中が痒くなったりする。
異常が無いのに異常に痒くなる症状を掻痒症(そうようしょう)と呼ぶが、老人の掻痒症を特に「老人性掻痒症」と呼んでいる。
しかし今のところ、なぜ老人性掻痒症が起こるのかはハッキリしていない。
歳をとると汗をかきにくくなり、皮脂の分泌量も減って、乾燥肌(ドライスキン)になりやすい。
そのため、肌が敏感になって、ちょっとしたことで痒くなるからだとか言われている。
ただし掻痒症の痒みは、非常に激しい痒みで、痒みを抑える効果が高い「抗ヒスタミン薬」も効きにくいのだという。
というのも頭や肛門などの特定の場所が、猛烈に痒くなって、掻かずに我慢することが出来ない。
あるいは身体のあちこちが突然痒くなって、掻かずに我慢することが出来ない。
こういうのが掻痒症だから、単純に乾燥肌だからと言うのは、いささか説得力が無い。
掻痒症(そうようしょう)とは
皮膚そう痒症でかゆみがおこるメカニズムは十分には解明されていません。肌の乾燥のためにちょっとした刺激で痒くなることもありますが、それだけでなく、腎臓、肝臓・胆道、糖尿病やホルモン異常、血液や内臓の悪性腫瘍、さらに内服薬なども原因になっていることがあります。これらによる痒みのおこり方は蕁麻疹や湿疹のときにみられる痒みとは同じではないといわれます。発作的に“痒みが襲ってくる”“体の中から痒みが湧いてくる”という方もよくみられます。
※日本皮膚科学会HPより引用
アトピー性皮膚炎と掻痒症は、何が違う?
掻痒症は、もの凄く身体が痒くなって、掻かずにおれない症状だ。
ただしこれは、アトピー性皮膚炎にも共通するから、どう違うのかも気をつけたいところだ。
というのも痒み自体は同じでも、そのあとの状態が違うからだ。。
では、掻痒症とアトピー性皮膚炎とは、何が違うのか。
まず、痒みが起こる場所が異なる。
掻痒症は、全身がくまなく痒くなったり、頭や肛門などの特定の場所が猛烈に痒くなる。
しかしアトピー性皮膚炎では、手や上腕部(二の腕)、ヒジの内側やヒザ裏などが、痒くなりやすい。
また掻痒症の場合は、掻きむしって皮を剥いてしまい、そこにカサブタが出来ても、比較的早く治ってしまう。
何日か猛烈に痒くて、もの凄い勢いでボリボリ掻いていたのに、一週間もたてばカサブタが剥がれて治ってしまう。
ところがアトピー性皮膚炎では、ジュクジュクとした発疹ができて、それがなかなか治らない。
さらにこのジュクジュクした発疹が飛び火して、また新たな痒みが生まれてくる。
通常、健康な人の肌は弱酸性に保たれているのだが、アトピー性皮膚炎の患者の皮膚は、弱アルカリ性に傾いているんだという。
アトピーの場合、皮膚上に黄色ブドウ球菌などの雑菌が増えていて、それが原因で痒みが起こるという。
なのでアトピーの場合は、皮膚をいかに弱酸性に戻すかが重要になるのだが、掻痒症の場合は、そういうことは無いらしい。
皮膚の状態がアトピーよりも良いので、普通にカサブタが出来て、それが剥がれて終わる。
一方、カサブタが出来ても、なかなか剥がれなくなる皮膚病もある。
それが「多形慢性痒疹(たけいまんせいようしん)」だ。
多形慢性痒疹とは、簡単に言うと、硬いカサブタがドンドン増えていくというタイプの皮膚病だ。