肺ガンが急増している
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日本でも肺ガンで死ぬ人が増えているという。
肺ガンは、ガンの中でも致命率が高く、多くの人が肺ガンで死んでいる。
ガンで死ぬと言えば、胃ガンを思い浮かべるが、実は肺ガンが一番、死に至りやすいガンだ。
肺ガンの原因は、第一に喫煙(タバコ)、第二に放射性物質のラドンで、住宅建材のアスベスト、クロムなども原因とされている。
肺ガンと喫煙の関係は、喫煙率の曲線と肺ガン死率の曲線が、20年を経て強い相関関係を示すことから、一定の関連性が認められている。
ただこれは20世紀前半での話で、喫煙率が下がっても肺ガン死者数は減らず、どうもタバコだけが原因ではないらしい。
ということでまず、ガン死の内訳と、その推移のグラフを作ってみた。
ガン死の内訳と推移(日本)
日本では、1975年頃からグラフの勾配が急勾配になっているので、60年代以降に起こった変化が、直接の原因ってことかな。
60~70年代と言えば、工業地帯の公害が本格化した時期にあたる。
また東京オリンピックや大阪万博で、日本中で高速道路などがガンガン作られはじめた時期に当たる。
一方、肺ガン死と強い相関関係のある喫煙率の方は、60年代には男性の約8割がタバコを吸っていたが、そこからどんどん喫煙率が低くなって現在は約3割だ。
喫煙率がどんどん下がっているのに、肺ガン死がどんどん増えているわけだから、喫煙はもはや肺ガン死の大きな要因ではないらしい。
喫煙は減ったが、肺の中に入る様々な物質が、増えたせいで肺ガン死が増え続けたってことかな。
肺ガン死亡率の国際比較
肺ガンによる死亡の急増は世界的な現象だ。
実際、OECD統計で死因の推移を見てみると、どの国でも肺ガン死の人数が爆発的に増えている。
この50年間で一番増えた死因は、どうも肺ガンらしい。
しかしどの国で肺ガンが増えているのか、実数だけでは分からない。
というのも国によって年齢構成や人口などが違うので。
そこでOECD統計では、標準化死亡率という指数で、国際比較ができるようなデータを出している。
肺ガンの標準化死亡率の推移 比較(男性)
このグラフを見ると、男性の10万人あたりの肺ガンの標準化死亡率は、80年代後半にピークを迎えて、60~80人のゾーンに収束したらしい。
原因発生の20年後に肺ガン死が増えるという相関関係で考えると、公害対策が進んで大気汚染が収まった結果、肺ガン死の増加が止まったということかな?もちろん、これは年齢人口構成などを調整した後の数値だから、実際には肺ガン死亡者数は増え続けているわけだが。
肺ガンの標準化死亡率の推移 比較(女性)
一方、女性の肺ガンの肺ガンの標準化死亡率は、まだ収束していないようなグラフだ。
デンマーク、カナダ、アメリカ、イギリス、オランダといった国は、男性の死亡率にかなり近づいている感じだ。
これらの国々は、北に位置する国という共通点があるが、果たして何が原因なんだろうね?イギリスなどでは、石炭火力で煮炊きしたり、暖房も石炭ストーブをずっと使っていたりして、ロンドンなどでは10年ごとに大スモッグが発生していたから石炭の煤塵などの影響かもしれない。