手続き記憶とは
更新日:
歳をとればとるほど、前頭葉は使われなくなる。
これは、熟練した作業では、頭をさほど使わなくなるからだ。
技術を身につけるときには、いちいち注意してやってたのに、慣れると考えなくても、きちんと作業ができてしまう。
これは「手続き記憶」といって、同じ作業を何度も繰り返すと、作業手順を脳が記憶するからだ。
そして覚えた作業手順通りに、脳が勝手に作業を進めてくれるからだ。
自転車に乗る時、車を運転するとき、最初はこわごわと乗ったり運転するが、何十時間か練習すると、だんだん楽になる。
これは運転の手順を脳が少しずつ覚えて、努力せずとも行動できるようになるからだ。
勉強でも、最初こそ時間がかかるが、慣れるとスラスラできたりするのは、この「手続き記憶」のせいだ。
しかしそうして努力が身につき始めると、逆に前頭葉はあまり働かなくなる。
というのも手続き記憶は一種の「習慣」であり、努力無しでできる習慣は前頭葉を使わない。
前頭葉が働くのは主に、「新しいことをやる時」と、「今までやっていたことをやめる」時で、「注意しながらやる」時も働く。
なので注意する必要もないくらい熟練すると、難しいことを雑作もなくできてしまうが、また別の新しいことでも始めない限り、前頭葉は使われなくなり徐々にボケ始める。
ベテランの人に頑固な人が目立つのは、仕事や作業に熟練して満足してしまって、新しいことをやっていないからだろう。
年寄りが頑固なのは当たり前
歳をとると頑固になりやすいのは、新しく学ぶことが減るからだ。
新しいことを学んだり、新しい経験をすることで、前頭葉は活性化されて、積極的に動けるようになる。
ところが人生経験が増えると、そういう機会がドンドン減っていく。
子供の頃は、見るモノ聴くもの、知らないことばかりであったけれど、歳をとれば、見るモノも聴くモノも、知ったモノばかりで新鮮味がない。
これでは前頭葉は活性化されず、頭の働きが徐々にボケてしまう。
「頑固」はボケの兆候の一つだが、歳をとると頑固になりやすいのは、こういう風に新しく学んだり、新しい経験することが減るからだ。
また歳をとって地位が高くなると、自分でやらずに済む仕事も増える。
パソコンや携帯電話の操作などは、奥さんや子供にやってもらったり、職場でも他部署や部下に雑用を任せっきりにできたりする。
歳をとって何らかの資産を持つと、自分のやりたいことだけ、やっていればいい環境もできる。
他人と意見の衝突があっても、「まあいいか」で済んでしまうことも多い。
なので苦手なことや面倒なことは、可能な限り避けたり他人に任せて、自分の得意なことばかりやることになる。
自分の得意なことは、少しの努力でできるので、楽だけれど、前頭葉の働きは衰える。