寝不足も、寝過ぎも、心臓に悪い
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老後の健康には、睡眠も重要だ。
というのも睡眠不足になると、注意力が散漫になり、大けがをするリスクが高まるからだ。
また過労による睡眠不足が続くと、心臓病のリスクも高まることがわかっている。
これは2002年にLiuらによって発表されたものだが、1996年から98年の間に急性心筋梗塞を起こした40歳から79歳までの日本人男性260人と、同じ仕事先で年齢も近い男性445人を対照群として比較してみた研究である。
この症例対照研究によると、(1)発作を起こす前の1年~1ヶ月に週61時間以上働いていた人は、40時間以下労働の人に比べて約2倍(1.9倍)の心臓発作リスクがあった。
(2)発作を起こすまでの1年~1ヶ月に、5時間以下の睡眠が週2回以上の人は、リスクが2~3倍だった。
(3)発作前一ヶ月の休日が2日未満だった人と、8日以上だった人の比較では、心筋梗塞リスクは約3倍(2.9)だった。
また「革命アンチエイジング」のテキストによると、睡眠時間と心臓病を対象とした研究(2003年)では、毎日、8時間の睡眠を取っている女性に比べ、睡眠時間5時間以下の女性は、心臓病リスクが82%も高かった。
また6時間睡眠の女性では、心臓病リスクが30%高く、9時間以上寝ている女性も、57%もリスクが高くなっていた。
つまり、寝不足も心臓に悪いが、寝過ぎも心臓に悪いと言うことらしい。
寝不足は、糖尿病リスクも増やす
心臓発作を起こした40歳以上の男性と、心臓発作を起こさなかった男性を比べた結果、週61時間以上働いていた人は、週40時間未満しか働いていない人より急性心筋梗塞リスクが約2倍も高くなると言う。
また別の調査によると、1日の睡眠時間が6時間以下の女性は、睡眠時間8時間の女性と比べると、心臓病のリスクが30%以上も高くなるし、睡眠時間が9時間以上の女性も、心臓病リスクが57%も高くなると言う。
つまり十分な睡眠がとれないと心臓に悪いし、9時間以上の睡眠も心臓に悪いということらしい。
9時間以上の睡眠が、なぜ心臓病リスクを57%も上げてしまうのかはよく分からないが、長時間睡眠だと、寝ている間に脱水症状が起こりやすく、ずっと横になっているために、血液が滞りやすいのかもしれない。
また寝不足や寝過ぎは、肥満や糖尿病にも悪いという。
というのも一日の睡眠時間が6時間未満の人は体重が増えやすく、さらに5時間以下の人と9時間以上の人は、糖尿病になるリスクが1.5倍になるという。
睡眠不足がなぜ肥満につながるかというと、睡眠不足によってホルモンの働きが悪くなってしまうかららしい。
たとえば22歳から42歳までの健康な男女について調べた報告では、連続8日間で睡眠が6時間30分以下のグループは、7-8時間睡眠のグループと比較した場合、インスリンの感受性がはるかに低かったという。
ということで、推奨できる睡眠時間は、7時間から8時間の間、ということになるらしい。